お役立ち情報Ⅱ

お役立ち情報Ⅱ──Kindleペーパーバックにチャレンジ! 費用はどのくらい?

文フリ用の本などをキンドルペーパーバックでつくれるということで
キンドルペーパーバックへの関心が高まっています。
ここではこのキンドルペーパーバックについて、
その費用を中心に、解説します。

(1)キンドルペーパーバックの印刷代
‎出版にかかる費用と言えば、まずは印刷代です。

‎キンドル(以下、「Kindle」と表記します)では、本が売れるとその売り上げの6割が
出版した人の収入になります。
印刷代はここから引かれます。
‎例を挙げて説明しましょう。
‎Kindleのペーパーバックはカラーかモノクロかということと、本のページ数によって
印刷代が変わります。
‎印刷はオンデマンド方式です。
‎Kindleの説明は以下をご覧ください。‎

ペーパーバック (紙書籍) の印刷コスト
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201834340

印刷代を0.6で割った値が出版する本の最低価格になります。
‎たとえば本文モノクロ・表紙カラーでA5判やB6判、100ページの本を
ペーパーバックで出版したとします。
その印刷費は422円になります。
この本の最低価格は422÷0.6=703.33…で703円になります。
つまり印刷費の約1.67倍になるということです。
消費税込みだと773円です。

この価格で本が売れると、出版した人にはその6割、つまり422円が入ります。
この422円が印刷代としてとられるわけです。
したがって手取りは0円となりますが、印刷費用を負担する必要はありません。
‎703円以上の価格にすれば、その差額が出版した人の収入になります。
つまり印刷代は本の売り上げ金で支払われるので、
印刷のために必要な費用は0円ということです。
そして注文印刷ですから、本が売れなければ印刷代を支払う必要はありません。‎

しかし次のことに注意してください。
①kindleペーパーバックでは24ページに満たないページ数の本はつくれません
②24ページ~108ページの本の印刷代は一律422円です
 (サイズが155.5×228.6以下のもの)
 したがってkindleペーパーバックでつくる本のオンデマンドでの価格は
 最低料金でも税込み773円となり、それ以上安くはできません

(2)自費出版の場合‎
自費出版で本を出すと、印刷会社にもよりますので一概には言えませんが、
部数は100冊とか200冊とかの一定の数になり、モノクロの場合で安くても
10万円以上はかかると思います。

ネット印刷にすればもっと安くなりますが、印刷用のデータを自分でつくる必要があります
(これはKindleでも同じです)。
‎ちなみにネット印刷大手のA社では、どういう用紙にするかによりますが、
A5判100ページの冊子として、表紙・本文とも薄めの普通紙の場合、
カラー印刷ですが、印刷代は1冊1,320円ほどです。
また格安で有名なB社でさえ、同種のものの印刷代は1,020円ほどかかります。
もっともこれらの印刷会社では印刷部数が増えていけば一冊当たりの印刷代はそれに応じて安くなっていきます。

‎(3)その他の費用‎
そのほかにかかるのは、校正用の刷本を頼むとその代金がかかります。
これは透かしが入っていて本としては販売できないものです。
しかしこれは本を販売する以前に手に入れることができます。
これとは別に「著者用コピー」というものもあります。
これは販売中の本を印刷したものです。
これも料金がかかります。
金額はどちらも印刷代プラス配送料です。
(この配送料はamazonプライム会員の方でも無料にも安くもなりません)
先ほどの例で言えば422円プラス配送料ということです。
これは頼んでも頼まなくてもいいものです。
Kindleの説明については次のものを参照してください。‎

校正刷りと著者用コピー
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G7BBN68RYX5UMDZF

残りは表紙と本文のPDFデータの作成にかかる費用です。
これをもし自分ですべてつくることができれば費用はかかりません。‎

‎‎(4)販売方法の工夫
初めにkindleペーパーバックの印刷代は売上げ金から引かれるということを説明しましたが、
このことは本の価格をあまり下げることができないということでもあります。
すでに述べたようにオンデマンド販売での最低価格は773円です。
そしてこの価格では利益は何も出ません。

この問題に対応するには、kindleから 「著者用コピー」 を注文して
それを文フリなどで手売りするという方法があります。
「著者用コピー」という名ですが普通の本です。
これは著者であれば印刷代の金額を支払うだけで何冊でも注文できます。

先ほどの例でいえば、本1冊422円で手に入るというわけです。
もっとも送料はそれなりにかかってしまいますが。
また、ほかの印刷屋さんのように注文部数を増やしても安くなることはありません。
これを文フリなどで例えば600円で売れば、送料費を別にすれば、
1冊あたり178円の利益が出ます。

(5)まとめ
Kindleでペーパーバックを出版するのにかかる費用は、表紙と本文の作成にかかる費用と
校正用や自分用の本を手に入れるための費用といえるでしょう。

表紙は、立派なイラストなどを載せたい場合は、絵師さんに頼むことになるでしょう。
もちろん自分で書いたり、自分で撮った写真を使えばその費用はかかりません。
問題は、表紙も本文も印刷用のPDFファイルを作成しなければならないことです。
これはオンデマンド印刷の場合でも同じです。

KDP (キンドル ダイレクト パブリッシング) では (またそのほかのネット印刷の会社も)
データのつくり方の説明をしていますが、組版を経験したことのない方にはハードルが高いと思います。

よく、勘違いしている方がいますが、電子書籍を出版したからといって、
そのデータをそのままペーパーバックのデータに使えるわけではありません。
ペーパーバックのデータは電子書籍のデータよりはるかに複雑です。
また入稿するファイル形式も異なります。

以上です。お役に立てば幸いです。